写真用語辞典

写真用語辞典 あ行

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あ行

ISO
International Organizzation for Standarization標準化 の国際機構(International Organizzation for Standarization)の略称で、第二次世界大戦後創設された国際標準をつくるための国際機構。現在55カ国が参加している。この機構は、部門別に組織された147の標準化の技術委員会(TC)をもち、このうちTC36は映画の関係、TC42は一般写真関係を担当している。種々の国際標準規格が、ISO規格として定められている。
ISO感度
ISOとは国際標準化機構のこと。この機構が定めたフィルム感度がISO感度で、ISO100やISO400などと表示する。フィルムにおける感度表示の単位ではあるが、現状デジタルカメラの撮像素子の感度においても、同じように表記されている。
アオリSwing(&Tilt)
レンズの光軸が画面の中心に垂直にあたる基本パタ−ンに対して、光軸を中心外とし、あるいは(その上)斜めにして結像効果をあげるためのカメラ操作。厳密には、アオリ(Swing&Tilt)と前板移動(Shift&Rise-Fall)とがある。
赤目現象
閃光光源(フラッシュバルブ、エレクトロニックフラッシュなど)で、人物を正面からカラ−撮影した際、人物の瞳孔が赤く再現される現象。カメラの光軸と閃光光源の光軸が近似した場合、閃光光源の光軸が瞳孔を通して眼球内に入射するとき、眼球内の血管によって赤色光が反射され、瞳孔部が赤く再現される。
ASA感度
アメリカ国家規格協会(ANSI)によって設定された標準規格による感光材料の感度。一般撮影用黒白フィルムの場合、アメリカ規格PH2.5にしたがって測定された感光材料の感度。ASAがANSIとなっても、従来どおりASA100などという。
アセチルセルロース
酢酸線維素。セルロースの酢酸エステルで、セルロースの全部の水素基がエステル化されたトリアセチルセルロースは吸湿性が低く燃えにくいので、このフィルムは安全フィルムとも呼ばれ、写真フィルムのベ−ス材料として使用される。
アタッチメントレンズ
カメラに装着されているレンズをマスターレンズとして、その前あるいは後ろのボディとの間に付け、マスターレンズの機能を変えるための補助レンズ。
圧板
カメラの裏ぶたに付けられているバネ付きの平板。フィルムの平面性を保持させるためのフィルム押え。圧着板と同じ。
後玉(あとだま)
数枚のレンズから構成される写真レンズなどの、光学系の最後部にあるレンズあるいはレンズ群。
後ピン
任意の所にピントを合わせたとき、その箇所がボケて、それより後方の所にピントが合った状態をいう。
後幕(あとまく)
フォーカルプレンシャッターのシャッター幕で、露光の際に、スリットの後側となって動く幕。スリットの前側となる前幕と対をなす。画面の位置により露光時間が相違しないように、先幕の後端の移動速度が速い部分では、後幕の先端も速く移動しなければならない。
アパーチュア
開き穴の意で、レンズの口径をいう。また、撮影機、映写機、プリンターなどで、フィルムに接して画面部をきめる枠の開口部(穴)をいう。一般に光学機器を通過する光線束を規制する開口部。
網点
網点印刷で、面積の変化により濃度を再現するために用いる微小点の事で、50%の網点の径は、50〜200μ程度である。スクリーンを用いて、リスフィルムとか湿板に撮影して硬調現像すれば得られる。網点周辺の濃度こう配が急な点をハードドットといい、網ネガより密着して得た網ポジの網点に相当し、濃度こう配がゆるやかな点をソフトドットといって、撮影で得た網点などが相当する。
RCペーパー
ポリエチレンのような、水を通さない薄い合成高分子の膜でペーパーの両面を被覆し、その一方の側に乳剤を塗布した印画紙で、支持体の紙の吸収がないので、フィルムと同じに迅速な現像処理ができる。RCペーパーはコダック社の商品名で、WPペーパー(富士フィルム)、PCペーパー(小西六)、PEペーパー(アグファ)とも呼ばれている。
アングルファインダー
カメラのファインダー接眼部に付けて、ウエストレベルでのぞけるL字型反射式ファインダー。レフレックスコンバーターともいう。
暗室
感光材料を取扱ったり、処理するために遮光した部屋、または場所。暗室は遮光が完全であることは必要であるが、そこで作業をするので、ホコリが少ない事、換気がよい事、湿気が少ない事も重要である。
アンシャープマスク
マスクはカラー原稿とか分解ネガと密着して使用されることが多いが、シャープマスクは寸度上の問題で処理がむずかしく、使用度が少ない。大部分のマスクは拡散シートなどを用い、やや像をぼかしたアンシャープマスクとして使用される。ネガとアンシャープマスクを重ねると、画面周辺のグラディエントが高くなり、印刷効果はよい。
安全光
暗室内での写真感光材料の取扱いを容易にするために使用する照明光。感光材料には影響を与えない程度の明るさ、および波長領域をもつ。
アンバーフィルター
薄い赤褐色のフィルターで、デーライトタイプのカラーフィルムで曇天時撮影する場合、あるいはタングステンタイプのカラーフィルムで昼間撮影する場合のように、カラーフィルムの色バランスする色温度より高い色温度の照明下で撮影する際に使用する、色温度変換フィルターである。
EEカメラ
カメラに組み込まれた電気露出計によって自動的に適正露出が行われる、完全自動露出制御機構を有するカメラ。
イエロー
減色法3減色の1つで、青の補色(マイナス・ブルー)。発色現像方式のカラー写真では、一般式R-COCH2CONR’R"のアシルアセトアニライドカプラーと発色現像主薬がカプリングして生成したアゾメチン色素が用いられる。この色素は2つの極性構造があるが、エネルギー的に近いので光吸収ピークは重なっている。吸収は比較的理想に近く、もっぱら青色域を吸収し、他色域の吸収は少ない。
イーゼル
引伸しのときに、感光紙の平面性を保持するとともに縁取りを形成するための平板枠のことで、固定サイズのものと可変サイズのものとがある。
イーゼルマスク
引伸しの際に、印画紙を保持し、印画紙の大きさをきめ、縁取りをする焼枠。辺の固定されたものと、2辺を移動して、大きさ、形を調節できるものとがある。
一眼レフカメラ
撮影レンズを通った光をミラーで反射させてピントスクリーンに投映し、ピント合わせを行うよう設計したカメラ。一般にペンタプリズムなどで上下左右正像とするようになっている。現在、ほとんどの高級カメラは一眼レフ化している。
イメージサークル
レンズは、光軸に垂直な焦点面に円形の像を結ぶが、その像は周辺部ほど鮮鋭度が低下し光量も減少する。この傾向が画質評価上許容できる限界の外周円をイメージサークルといい、その直径で表示する。一般にはF22、f=∞における値を示す。
色温度
試料放射の色度に等しい、あるいは最も近似の色度をもつ完全放射体(黒色)の絶対温度。
色温度計
光源の色温度を近似的に測定する機器。光の2成分(赤・青)あるいは3成分(赤・緑・青)の強度の比から、色温度が読み取られる。タングステン光のような連続スペクトルの光源の色温度測定には有効だが、蛍光灯のような輝線を含む不連続スペクトルの光源には不向きである。
色温度変換フィルター
一般にはLBフィルターのことであるが、色温度変換能力に応じて変換能力の大きいフィルターをcolor conversion filter、比較的変換力の少ない、カラーバランスを整える程度のフィルターを light balancing filter という。
色再現
カラ−写真、カラー印刷、カラーテレビなどで、元の色を再現すること。1.分光的再現2.側色的色再現3.正確な色再現4.等価な色再現 の4種類の色再現方法がある。1は分光特性が一致する色再現であり、2は3刺激値が一致する色再現で、同一観察条件で有効。3は3刺激値と輝度が一致する色再現で、4は再現物をオリジナルと異なった条件で観察したとき、オリジナルの場面の色と同じみかけをもつ3刺激値と輝度の色再現である。
色収差
光がレンズ系を通過する際、波長の長短によって屈折分散が異なるために生ずる収差。軸上色収。
色収差
光がレンズ系を通過する際、波長の長短によって屈折分散が異なるために生ずる収差。軸上色収差と倍率色収差がある。
色の3属性
色に対する感覚の属性で、色相・明度・彩度の3つをいう。緑・青色光を加減したり(加色法)して、焼付け光の光質・光量を調整し、好ましい調子の色再現を得ること。
色補正フィルター
画像のカラーバランスの変換、光源の分光特性の不足を補うために用いられ、自光成分軋一部の色光を調節すると同時に残りの成分の色光の1つ、あるいは2つを透過する特性を有す。CCフィルターの名称構成例として、たとえはCC+濃度の100倍の値+色相。イエロ−(青吸収)、マゼンタ(緑吸収)、シアン(赤吸 収)、ブルー(赤と緑を吸収)、グリーン(育と赤を吸収)、レッド(育と緑を吸収の6色のCCフィルターがあり、各色相とも各種濃度のものがある。色補正フィルターともいう。
印画紙
バライタ層(通常)をもつ原紙にハロゲン 化銀写真乳剤を塗布したもので、一般用と特殊用に分けられる。カラー用・黒白用が実用され、感度、調子、色調、光沢、原紙の厚さ、サイズなどで多数の商品がある。調子は軟調から硬調まで数段階のものがあり、ネガの調子に合わせて選ばれる。
インターネガ
映画用の反転カラーオリジナルやポジブリントからつくったネガ。多数の封切り用プリントをつくる際に、代替品のないマスターポジを保存するためにいったんインターネガをつくって、これをポジブリント作製に用いる。多層カラー写真の場合。インターネガを作製する際に、特定のショットのカラーバランスの補正や、特殊効果の導入が可能である。アメリカでは、元来は反転カラーポジから直接得たカラーネガを指しており、中間にカラーポジを介して得たネガを、カラーデュープネガと呼んでいる。
インフ
無限遠の略。∞と記す。
内型カラーフィルム
乳剤層中にカブラーが内蔵されている型式のカラーフィルム。カブラーが現像液 に添加されている外型(外式)カラーフィ ルムに比して、現像処理が簡便で、自家処理ができる。また、乳剤粒子の大きさ による色のあざやかさの変化が小さく、高感度フィルムがつくりやすい。カラー ネガフィルム、カラープリントフィルムは内型カラーフィルムで、カラー反転フィルムには、内型と外型とがある。カラ ーペ−パーは内型である。内型では、3層の乳剤に、シアン・マゼンタ・黄の発色をするカブラーを別々に添加し、他の乳剤層に拡散しないようにする必要がある。このため1.耐拡散性カブラー方式(アグファ方式;Fischer方式):カブラ−に炭素原子12〜18個を含む脂肪鎖をつ けて拡散を防止する。乳剤添加ができるように可溶性基をつける。2.プロテクトカブラー方式(コダック方式;Jelly− Vittum方式):プチル基などをつけた 油溶性カブラーを水と混和しない溶剤に 溶解し、ゼラチン中にコロイド状に分散する。発色色素の純度と退色しにくい点ですぐれている。3.ポリマーカプラ一方式(カブラー結合剤方式):カブラーを乳剤の保護膠質(結合剤)となるポリマーと結合する方式(デュポン方式)が用いられる。
雲台
三脚にカメラを取付ける中間アクセサリーで、カメラの角度を上下左右自由に変え、固定できる。種類は、自由雲台、シネ雲台、パノラマ雲台などがある。なお、雲台付き三脚が多い。
AEカメラ
自動露出機構を有するカメラ。TTL、絞り優先の電子シャッター方式など、EEの呼称が適切でなくなってきて、最近はAEと称するようになった。
X接点
ストロボおよび MF級閃光電球用のシンクロ接点で、タイムラグがほとんど0(零)に設定されている。レンズシャッターカメラのX接点は、シャッター羽根が全開になったと同時にスイッチが入るようになっており、フォーカルプレンシャッターカメラの接点は、シャッターの先幕が画面を横切ったとき、スイッチが入るようになっている。
NDフィルター
選択吸収をせずに、どの波長光に対しても一様に吸収する中性濃度(無彩色)のフィルターで、入射光の成分を変えることなく、透過光量を減少させる機能を有する。なお、濃度の相違により、減光率の異なるフィルターが用意されている。ND一50:透過率50%のNDフィルター。ND−2:透過光を1/2にするNDフィルター。ND−0.3:濃度0.3のNDフィルター。
Fナンバー
レンズの明るさ、絞り値を定量化した値で、つぎの式のような関係がある。

LBフィルター
カラーフィルムがカラーバランスのとれる最適な色温度(バランス色温度)とは異なった照明光下で使用される場合、この照明光をフィルムのバランス色温度に近似するような色温度に変換させるためのフィルター。色温度上昇用(ブルー系)と色温度降下用(アンバー系)が用いられる。LBフィルターは、(フィルターのクラス)(色相)(赤対青の変換力)/(赤対緑の変換)の順に表示される(例:LB−B10/12)。なお、変換力はデカミレッドで示す。
エレクトリックアイ
電気の目の意で、EEと略される。被写体の明るさを、セレン光電池やCdS(硫化カドミウム)光電導体などを用いて測定し、その明るさに応じて、レンズの絞りが、目のひとみのように変化するもの。露出を自動的に調節し、適性露出を与えることができる。シャッター速度はセットされ、絞りだけが変化するもののほかに、シャッター速度と絞りをいっしょに調節するものもある。拡張して、絞りは一定で、シャッター速度が自動的に調節されるものもいう。そこで、AE(automatic exposure自動露出)ともいう。
演色
照明による物体色の見え方。演色の変化は、光源の分光特性と目の色順応の変化の結果として定める。

APS-Cサイズ
デジタルー眼レフの撮像素子のサイズを示す語として使われているが、APSとは「Advanced Photo System」の略語で、もともとは24ミリ幅のフィルムを使用したカメラシステムのこと。APS−Cサイズは16.7ミリ×25.0ミリ。なお、実際の撮像素子のサイズはこの大きさより若干小さく、メーカーによっても異なる。
Exif(エグジフ)
Exchangeable Image File Formatの略語。絞り値やシャッター速度、撮影日時をはじめ、さまぎまな撮影情報を記録したデータ。主にJPEGなどのファイル形式に付加される形で存在する。これらのデータは、各デジタルカメラに付属する画像閲覧ソフト等で確認できる。
黄金分割
A、B、C、D:黄金分割点AD、AB、DC、BC:黄金分割線□ABCDはAB:AD≒3:5となり、これは最も美しく安定した均斉のとれた長方形とされている。幾何学の原理による線分の最良比例分割例。図で、黄金分割点は画面構成上、最も均衡のとれた位置。黄金分割線は画面における水平線や垂直線を配するのによく、安定感がある。
覆い焼き
写真技法の1つで、密着および引伸し焼付けの際、画面効果をよくするために、露光中に画面の一部分を黒紙などで覆って、部分的に露光量を変化させる方法。

オルソバン
肉眼の感色性に近く、黄緑部分(約500〜600nm)に高い感度をもつ汎(はん)色性。写真感光材料が可視光全域に対して感色性をもつことを、汎色性またはパンクロ(panchromatic)といい、そのうち、特に黄緑色光に対する感色性の高いものをオルソパソといい、赤色光に対する感色性の強いものを、スーパーパンあるいはハイパーパンと区別して呼ぶ。たとえば、ハロゲン化銀乳剤は、可視光のうち青にのみ感度をもっているのであるが、これに適当な増感色素(ある種のシアニン色素など)を加えて、上記性質を付加することができる。