銀塩大好き(写真屋の銀塩写真通信)

銀塩写真店の経営環境の難しさについて

2008.10.6

前回銀塩写真の良さを問いかける写真展について書きましたが、その時、石油高騰に対し漁師の一斉休業など写真店はできない。と書きましたが、写真薬品は生き物みたいな物で、毎日一定のフィルムを通し、写真薬品の補充液が入り一定の薬品のバランスが保たれなければ成立しなくなります。印画紙のプロセッサーも同様です。薬液のバランスが崩れるとコンストに現れ、ネガにも印画紙にもはっきり症状が現れます。解決策はNGになった毋液を交換します。写真薬品でも毋液は価格が補充液より高額な為

店主にとってこんな事を繰り返すなら、何の為に銀塩写真店をやっているのかが、分らなくなり、廃業するところが急激に増加しています。高額なデジタルプリンターを導入しても、元が取れない。1ヶ月の保守料金が高い、経営者の年齢、後継者の問題、etcなどの理由で町から写真店が消失しています。

俗にいうミニラボを維持する機械守は結構簡単ではないし、専門知識がなければ、メーカーのサービスマンをその都度呼んでいたら、翌月の請求書を見たら、経営を止めたくなると聞いた事があります。

銀塩写真の歴史は100数十年の歴史があります。21世紀に入りデジタル技術が一気に様変わりしましたが、デジタルの銀写真とは銀塩写真は別のモノです。

個々の写真店の問題と、産業としての問題の規模は違いますが、微妙にリンクしています。コニカミノルタ、アグファ、富士フィルム、コダック等が、大きなスパイラルから脱失しようとモガイているようにです。劇的に銀塩写真の価格に反映しなければ、デジタルの銀写真に変わる事になるでしょう。

フィルムを使うユーザーがその価値を知り、その輪が広がらなければ、フィルムそのものも作らなくなります。映画監督の大林監督たちが8mmフィルム存続を訴え製造中止が少し延びたように、近い将来、同じ道をたどる事になるでしょう。基本フィルムは長巻きをスリットでカットしているのですから、どちらも相関関係があるんです。デジタル写真が増えフィルムの事を全く知らない子供たちが増えています。

教育的側面からも文化としての銀塩写真のことも政争などしていないで政治家の皆さんも考えて頂きたいですね。

銀塩写真の良さを問いかける写真展、ゼラチンシルバーセッション08展を見て銀塩写真の未来を少し考えて下さい。今一度、銀塩写真のことを語り合ってほしいものです。

ゼラチンシルバーセッション08展 Save The Film(東京)

 開催中~10月16日(木)

 アクシスギャラリー 東京都港区六本木5-17-1

 お問い合わせ:tel.03-5575-8655

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