銀塩大好き(写真屋の銀塩写真通信)

銀塩の古い機械を使うという事は、薄氷を踏む思い

2013.11.7

お客様にこのように質問されました。大阪の銀塩写真をやっているワタナベカメラさんが、Webでも暫く休みます。とあるのですが、ご存知ですか?と尋ねられました。更に言葉を続け、この機械 デカイっすね!とプリンターを見ていわれました。

f:id:sacano-hidetoshi_19:20110605223439j:image

その存在は、雑誌で取り上げられたり、Webでは知っていますが、、、矢継ぎ早に、暫く休業の理由を尋ねられました。おつきあいがある訳ではないので、知る由も無いのでお話はそれ以上続きませんが、

しいていえば、重大な機械の故障とか?,経営者の健康問題etcとか?ありとあらゆる事が考えられます。長期で機械を止めるという事は、リスクがあります。薬液循環が停止しますと、薬品が使えなくなりますので、短期は薬液の変わりに水を張ってしのぎ、更に長くなる場合は、液体は全て抜き取ります。印画紙も使用期限がありますので、マガジンよりは、専用の遮光をしてある袋に入れて、冷蔵庫にでも入れておく方が良いでしょう。空気に触れる面積を減らす方が良いようです。

当方にも3、4年前富山県のお客様から、今後、銀塩写真を後何年続けますか?というメールの質問とか

フィルムは、まだ売られていますが今後どうなりますか?とか

今日の女性のお客様からは、FUJIFILMはフィルムの製造を止めるとNewsになってましたよね?

とかそれは、映画のフィルムの事ですよ。さらにメンテナンス関連のフィルムはまだ維持しているようですよ?などと少し余計な説明までしました。

業界団体が、アナログプリントのプロセッサーの製造をしないと20世紀後半にきめた時から、部品の供給はおぼつかないし、全てが逆風になりました。それでも、銀塩写真を続けるフィルムはレンズで焼くという、意思で続けているのですから、予想される諸問題を想定して、対応するしかありません。

例え、新人さんが銀塩写真をやりたい。といってもフィルムの歴史や知識が無ければ、俄に出来る訳でもなく、特殊な技術の蓄積が無ければ難しい仕事になってしまいました。

昔の広告写真のポジのフィルターファクターに対する知識や、025とか05とかCCフィルターの細かな感覚は、やってきた現場の人でなければ、難しい事です。

アマチュアを指導している大先生という方でもフィルターファクターの 知識も無く教えている方とか今までに多くの例を見聞いています。

コダクロームのPKRのフィルターファクターのNONの取り置きをしてもらったりして、フィルム調達していた苦労話だったり、現在のフィルムメーカーのようにフィルム管理がしっかりしていなかった時代です。

銀塩プリンターに沢山使われていて何度も壊れてしまうパルスモーターを管理するPMドライバーという基板が故障して、断念した同業者を見聞きしております。

現に当方のプリンターの同様のパーツも時々だだをこねます。過去の製品と現行の新型の同型機を探しメーカーに頼み込んで、情報を教えてもらったりしています。

先日のオークションで、ランプソケットを購入出来ました。もう5年くらい前にメーカー在庫が無くなっているパーツです。安心していられないのです。2台と1/2の機械で動かしていても、たえずパーツの事か気になり、e-bayのパトロールを欠かせません。QSSはKodakブランドで販売されていましたからそれもその筈です。

全世界に多くのユーザーがいたQSSのプリンターなのでパーツの調達が出来ますが、二大メーカー以外の銀塩プリンターを使われている経営者は、部品調達と故障で苦労されるでしょう

今まで銀塩写真を続けてきてこられて、あの3,1,1の輪番停電で、先代のQSS19型の電源装置が東電により破壊されましたので、今考えますと、金銭面の苦労を除けばQSS23型の選択は間違っていなかったと思います。

QSS19型は23型と共通部品が多いので、19型を使っていれば問題ないと言われ信じ込んでいました。しかし現実はそう簡単ではなくレンズボードをはじめ、ブローニーが固定焦点のみと、ズームレンズがメインの機械では、電気的な設計が別物の機械だったという事を思い知らされました。

QSS23型のパーツを探していて気がつくのは35mm中心のお店の機械は、120タイプのパーツは全くありませんので、機械の処理枚数も数で稼いでいるのが分かります。それに対し、アルバムやブライダル専門の機械はカウンターの処理枚数も少なく、丁寧に使っている事がはっきりと分かります。北海道最後のQSS23型を部品取り用に移送してもらいましたが、こちらの機械は、メインで使っている機械よいも綺麗な機械です。

この機械が最後の正真正銘の銀塩写真のプリンターである事は、誰しもが認められるところです、ブローニーのネガでも305mmの小半切を焼きたかったので、後悔はありません。

カテゴリー

最近の投稿

アーカイブ